自分らしくしていられると、心身が健康になると言われています。
逆に、自分を抑え、自分らしくいられないと、心身を崩すわけですね。
ではどうしたら自分らしくいられるのか?
その一つが、セルフ・コンパッション、つまり自分を思いやることです。
メンフィス大学のチャンとカリフォルニア大学のチェンらの研究グループは、セルフ・コンパッションと自分らしさの関係を調べた。
調査1
96人の大学生を9日間、毎日調査したところ、自分にやさしくできた日は、自分らしくいることができたと答えていた。
調査2
298人の大学生に、まず自分がダメだなと思う弱みについて考えてもらった。その後、3つのグループに分けて、異なる指示を出した。
① セルフ・コンパッションのグループは、「自分の弱みについて、思いやりと理解をもって、自分に話しかけると想像してください。何と自分に言いますか?」に答えた。
② 自己肯定感のグループは、「自分の弱みについて、ネガティブに見るのではなく、自分のいいところを肯定するように、自分に話しかけると想像をしてください。何と自分に言いますか?」に答えた。
③ 残りのグループは、上記のような指示を受けなかった。
その後、どれだけ、自分らしくいるかと5点満点で聞いたところ、①セルフ・コンパッションのグループが一番高く、平均3.55点。②自己肯定感のグループは平均3.36点、③何もしないグループは3.26点であり、統計的に差がなかった。
調査3
アメリカから245人、トルコから330人、マレーシアから292人の参加者に調査したところ、セルフ・コンパッションが高かった人は、1か月後、自分らしさが高まっていた。
セルフ・コンパッションが高い人は、自分が評価される恥ずかしさが少なく、楽観性が高いことにより、自分らしくいられることが分かった。
結論
自分を思いやると、自分らしくなれることが分かった。
自分らしさを周りに表現しようとすると、恥ずかしかったり、失敗したらどうしようと思ったりと、ブレーキがかかってしまいますよね。
セルフ・コンパッションはこのブレーキをゆるめ、自分らしくいられることを助けてくれます。
自分らしいことを自分にさせてあげること。これが自分への一番のやさしさではないでしょうか。
Zhang, J. W., Chen, S., Tomova Shakur, T. K., Bilgin, B., Chai, W. J., Ramis, T., … & Manukyan, A. (2019). A compassionate self is a true self? Self-compassion promotes subjective authenticity. Personality and Social Psychology Bulletin, 45(9), 1323-1337.