自分にやさしくできる人の方が、やる気があり、自分を律することができ、自己改善に努めることが知られています。
ところが、です。

「自分にやさしくするなんて、とんでもない。やる気がなくなり、自分に甘えてしまい、責任を果たせないではないか」、と。

こういう考えをもっていると、自分にやさしくすることができないことが分かってきました。

スタンフォード大学のチールとザキらは、自分にやさしくすること(=セルフ・コンパッション)に否定的な考えをもつ影響を調べた。

調査1

調査に参加した65人につらい、架空の大変な状況(例:テストでひどい点数をとり、落第した)にどう対応するかと聞いた。
セルフ・コンパッションに否定的な考えを持っている人ほど、自分にやさしくすることができず、適切に状況に対応できず、自己改善する意志も低かった。

調査2

調査に参加した90人の半分には、セルフ・コンパッションに肯定的な記事を、残りの半分にはセルフ・コンパッションに否定的な記事を読んでもらった。
その5~7日後、同様に架空の大変な状況にどう対応するかと聞いた。肯定的な記事を読んだ人は、自分によりやさしくすることを選び、問題に適切に対処しようとしていた。

結論

自分にやさしくすることに否定的な考えを減らすことで、大変な状況によりうまく対処するできることが分かった。

自分にやさしくすることがなぜできないのか?

この研究によれば、自分にやさしくすることは、怠惰、甘え、無責任につながると思っている考えにあると指摘をしています。

日本人は自己批判の度合いが強いと言われていますから、もしかしたら、この考えを持っている日本人は多いかもしれませんね。

でも朗報です。

記事を読むちょっとした作業で、この考えを変更できるというのです。
そうすれば、自分にやさしくする力が勝手に顕在化してくるというのですから。

Chwyl, C., Chen, P., & Zaki, J. (2021). Beliefs about self-compassion: implications for coping and self-improvement. Personality and Social Psychology Bulletin, 47(9), 1327-1342.