どうしたら将来世代を視野に入れる長期思考ができるのか?
死を意識する機会をつくろう。
こう提案するのがこちらの研究チームです。
デューク大学、ミシガン大学、ワシントン大学の研究チームは、44人の大学院生に、死を意識することで意思決定がどのように変わるかを調べた。
死を意識しない条件
調査の参加者に、死とは関係のない「数学の天才、難問を解く」という記事を読んでもらった。
その後、「将来にわたって貧困をなくす団体」へいくら寄付したいかと尋ねると平均$173だった。
死を意識する条件
次に、異なる参加者に、「飛行機ブレーキ故障事故で死亡」という記事を読んでもらい、死を意識してもらった。
その後、「将来にわたって貧困をなくす団体」へいくら寄付したいかと尋ねると、先の$173から$235へ上昇した。
発見
人は死を意識すると、将来世代のために何かを残そうと思う気持ちが沸き起こった。
人の痛みに気づき、自分もネガティブな状況から救われた体験をすることで、将来世代の幸せを願う心が育まれるようです。
面白いのは、白人の方が収入が高いのですが、アフリカ系アメリカ人の方が、将来世代の幸せを願い、より自身も幸せでした。
これを実際に実践している会社が長野県にある伊那食品工業ですね。寒天のシェアNo.1で、社員の幸せを願う会社で有名です。
入社すると100年分の日付が入ったカレンダーを見せられ、「あなたが死ぬ日は、この中に確実にある」と教えられるそうです。
100年カレンダー が会議室の壁に貼ってあるので、1日に数回、死を意識することになりますよね。
社員の幸せを願う会社のDay1は、死を意識することから始まるというわけです
Wade-Benzoni, K. A., Tost, L. P., Hernandez, M., & Larrick, R. P. (2012). It’s Only a Matter of Time: Death, Legacies, and Intergenerational Decisions. Psychological Science, 23(7), 704–709.